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日本アフェレシス学会雑誌:8-4-74 腎疾患領域:抗GBM型RPGN(PE)(透析非依存/透析依存/肺胞出血有)

8-4-74 腎疾患領域
抗GBM型RPGN(PE)(透析非依存/透析依存/肺胞出血有)
アフェレシスの方法 PE
アフェレシスの目的 抗体の除去など
推奨レベル ①透析非依存(腎予後):1B
②透析依存(腎予後):2B
③肺胞出血有り(生命予後):1C
 透析依存の目安:血清Cr>6mg/dL+乏~無尿
カテゴリー ①:I
②:III
③:I
文献的報告数 RCT CT CS CR
1 1 4 190
疾患概念
 抗糸球体基底膜(glomerular basement membrane:GBM)病は,腎(急速進行性糸球体腎炎,rapidly progressive glomerulonephritis:RPGN)と肺(肺胞出血)に急速かつ重篤な臓器障害を起こす予後不良疾患である(腎と肺の両方を障害する型がGoodpasture症候群).腎と肺の基底膜を構成する共通抗原であるIV型コラーゲンのα鎖(ほぼα3鎖)C末端の非コラーゲン領域(NC1ドメイン)が何らかの原因で免疫系に露出し,この抗原に対して産生された自己抗体(抗GBM抗体)が同部位と結合することで炎症を惹起し,糸球体や肺の基底膜を断裂させ,急速進行性の糸球体腎炎や肺胞出血を引き起こす自己免疫疾患である.

最新の治療状況
 PE+副腎皮質ステロイド薬+免疫抑制薬(シクロフォスファミド)の併用.

アフェレシスの根拠
 抗GBM抗体が直接的な病因物質であるため,PEによる除去が有効であり,生命予後改善,腎予後改善の両面から,PEは推奨される.

施行上のポイント
 非透析依存では,治療開始時の腎機能,半月体形成率が腎予後に影響するため,極力早期に治療を開始する.透析依存状態に至ると,治療しても腎機能が回復する可能性が著しく低くなる.Goodpasture症候群においても,PEは生命予後及び腎予後の改善に有用である.肺胞出血を伴う場合には,生命の危険を伴い早期に治療を開始する.

施行回数・終了のめやす
 施行回数:本邦の保険適用は14日間で7回,2クールまでである.
 極力頻回:連日~隔日行い,抗GBM抗体の陰性化を目標とする.
 血漿処理量:60mL/kgあるいは1.0~1.5循環血漿量.
 置換液:5%アルブミン溶液あるいはFFP(肺胞出血など重篤な出血を伴う場合にはFFP使用を考慮する).

保険適用*   有
 当該療法の対象となる抗糸球体基底膜抗体(抗GBM抗体)型急速進行性糸球体腎炎は,RPGNと診断された患者のうち,抗GBM抗体が陽性であった患者について,一連につき2クールを限度として行い,1クール(2週間に限る)につき7回を限度として算定する.

文   献
 1) Huart A:Outcomes of patients with Goodpasture syndrome:A nationwide cohort-based study from the French Society of Hemapheresis. J Autoimmun 2016;73:24-9
 2) Cui Z:Anti-glomerular basement membrane disease:outcomes of different therapeutic regimens in a large single-center Chinese cohort study. Medicine(Baltimore)2011;90(5):303-11
 3) Cui Z:Characteristics and prognosis of Chinese patients with anti-glomerular basement membrane disease. Nephron Clin Pract 2005;99(2):c49-55;Epub 2004 Dec 30
 4) Johnson JP:Therapy of anti-glomerular basement membrane antibody disease:analysis of prognostic significance of clinical, pathologic and treatment factors. Medicine(Baltimore)1985;64(4):219-27
 5) Walker RG:Clinical and morphological aspects of the management of crescentic anti-glomerular basement membrane antibody(anti-GBM)nephritis. Q J Med 1985;54(213):75-89