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日本アフェレシス学会雑誌:8-3-74 腎疾患領域:抗GBM型RPGN(IAPP)(透析非依存/透析依存/肺胞出血有)

8-3-74 腎疾患領域
抗GBM型RPGN(IAPP)(透析非依存/透析依存/肺胞出血有)
アフェレシスの方法 IAPP
アフェレシスの目的 抗体の除去など
推奨レベル ①透析非依存(腎予後):2C
②透析依存(腎予後):2C
③肺胞出血有り(生命予後):2C
 透析依存の目安:血清Cr>6mg/dL+乏~無尿
カテゴリー ①:I
②:I
③:III
文献的報告数 RCT CT CS CR
1 1 1 5
疾患概念
 抗糸球体基底膜(glomerular basement membrane:GBM)病は,腎(急速進行性糸球体腎炎,rapidly progressive glomerulonephritis:RPGN)と肺(肺胞出血)に急速かつ重篤な臓器障害を起こす予後不良疾患である(腎と肺の両方を障害する型がGoodpasture症候群).腎と肺の基底膜を構成する共通抗原であるIV型コラーゲンのα鎖(ほぼα3鎖)C末端の非コラーゲン領域(NC1ドメイン)が何らかの原因で免疫系に露出し,この抗原に対して産生された自己抗体(抗GBM抗体)が同部位と結合することで炎症を惹起し,糸球体や肺の基底膜を断裂させ,急速進行性の糸球体腎炎や肺胞出血を引き起こす自己免疫疾患である.

最新の治療状況
 PE+副腎皮質ステロイド薬+免疫抑制薬(主にシクロフォスファミド)の併用.

アフェレシスの根拠
 直接的な病因物質である抗GBM抗体はIgG分画であるため,免疫吸着による除去が期待できる(保険適用外).生命予後及び腎予後を改善するかどうかについては現時点では十分なエビデンスがない.

施行上のポイント
 非透析依存では,治療開始時の腎機能,半月体形成率が予後に影響するため,極力早期に治療を開始する.透析依存状態に至ると,治療しても腎機能が回復する可能性が著しく低くなる.肺胞出血を伴う場合には,生命の危険を伴い早期に治療を開始する.頻回な施行はフィブリノーゲンの喪失に注意する.

施行回数・終了のめやす
 本邦では保険適用外.欧州よりプロテインAまたは抗IgG抗体をリガンドとする吸着カラム(吸着性:IgG1,2,4>3)を使用した大量の処理量(2~3循環血漿量)で,抗体除去量はPE以上との症例及び症例集積報告がある.本邦で市販されているトリプトファン/フェニルアラニンをリガンドとした吸着カラムでは報告が極めて少ない.吸着特性(吸着性:IgG3,1>2,4)の違いや,高処理量の設定ができないが,除去率,腎予後,生命予後がDFPPと差がないとの報告がある.

保険適用*   無

文   献
 1) Stegmayr BG:Plasma exchange or immunoadsorption in patients with rapidly progressive crescentic glomerulonephritis. A Swedish multi-center study. Int J Artif Organs 1999;22(2):81-7
 2) Laczika K:Immunoadsorption in Goodpasture's syndrome. Am J Kidney Dis 2000;36(2):392-5
 3) Moreso F:Therapeutic immunoadsorption in Goodpasture disease. Med Clin(Barc)1995;105(2):59-61
 4) Esnault VL:Influence of immunoadsorption on the removal of immunoglobulin G autoantibodies in crescentic glomerulonephritis. Nephron 1993;65(2):180-4
 5) Bygren P:Goodpasture's syndrome treated with staphylococcal protein A immunoadsorption. Lancet 1985;2(8467):1295-6
 6) Biesenbach P:Long-term outcome of anti-glomerular basement membrane antibody disease treated with immunoadsorption. PLoS One 2014;9(7):e103568