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日本アフェレシス学会雑誌:7-27-61改 神経疾患領域:腫瘍様脱髄性病変

7-27-61改 神経疾患領域
腫瘍様脱髄性病変
アフェレシスの方法 PE
アフェレシスの目的 臨床症状の改善目的
推奨レベル 2C
カテゴリー III
文献的報告数 RCT CT CS CR
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疾患概念
 腫瘍様脱髄性疾患(tumefactive demyelinating disease:TDD)とは,2cm以上の脳病巣を呈し,浮腫,mass effectを伴い,しばしば脳MRIでリング状造影効果を認める腫瘍様脱髄性病変(tumefactive demyelinating lesion:TDL)を呈する中枢性炎症性脱髄疾患の総称である.これまでMarburg病,劇症型の多発性硬化症(multiple sclerosis:MS),tumefactive MSなど様々な用語で報告されている.TDLのMRI画像の特徴は,①腫瘤効果,②浮腫,③T2強調画像で病変周辺部の低信号所見,④拡散強調画像(DWI)で病変境界部のperipheral diffusion restriction,⑤リング状,オープンリング状造影効果,⑥拡張静脈の造影所見などがある.TDLの病理学的所見は,脱髄,反応性グリオーシス,Creutzfeldt-Peters細胞,髄鞘を貪食したマクロファージ,リンパ球浸潤,比較的に軸索は保持されることを特徴とする.診断には急性散在性脳脊髄炎(acute disseminated encephalomyelitis:ADEM),脳腫瘍,脳膿瘍,神経好中球病などとの鑑別が必要である.

最新の治療状況
 TDDでは,ステロイド治療,PE,インターフェロンβなどがある.通常,多発性硬化症ガイドラインに準じ,疾患活動期にステロイドパルス療法を施行した後,ステロイド抵抗性の症例にPEを施行する.TDDだけを解析したRCTはなく,ステロイド抵抗性の症例にPEを行い治療効果を認めたという報告は多数認められる.近年,リツキサンによる治療報告もある.

アフェレシスの根拠
 活動期に炎症性脱髄性変化を呈しているため,血中の炎症性サイトカイン,補体,免疫複合体などの除去,さらにTh1/Th2バランスの改善目的にPEが行われる.

施行上のポイント
 MSガイドラインに準じ,疾患活動期にステロイドパルス療法を施行後,ステロイド抵抗性の症例にPEを施行する.TDDだけを解析したRCTはなく,ステロイド抵抗性の症例にPEを行い治療効果を認めたという報告が多数認められる.

施行回数・終了のめやす
 疾患活動期に,1週間に2~3回,1日以上間隔を空けてPEを施行する.

保険適用*   無

文   献
 1) 深浦彦彰,野村恭一:急性期治療,多発性硬化症のパラダイムシフト―病態から治療まで.Clinical Neuroscience 2014;32:1271-4
 2) 清水優子:Tumefactive demyelinating disease. MS Frontier 2013;2:45-8
 3) Keegan M, Pneda AA, McClelland RL, et al:Plasma exchange for severe attacks of CNS demyelination:predictors of response. Neurology 2002;58:143-6
 4) Weinshenker BG:Therapeutic plasma exchange for acute inflammatory demyelinating syndromes of the central nervous system. J Clin Apher 1999;14:144-8
 5) Paus S, Promse A, Schmidt S, et al:Treatment of steroid-unresponsive tumefactive demyelinating disease with plasma exchange. Neurology 2003;61:1022
 6) Ikeda KM, Lee DH, Fraser A, et al:Plasma exchange in a patient with tumefactive, corticosteroid-resistant multiple sclerosis. Int J MS Care 2015;17:231-5