7-21-55②改 神経疾患領域
間質性肺炎合併の無筋炎型皮膚筋炎,多発筋炎
アフェレシスの方法 |
PMX-DHP,LCAP |
アフェレシスの目的 |
寛解導入 |
推奨レベル |
2B/2C |
カテゴリー |
III |
文献的報告数 |
RCT |
CT |
CS |
CR |
1 |
1 |
3 |
12 |
疾患概念
polymyositis(PM)/dermatomyositis(DM)は,約40%で間質性肺炎を合併し,急速に進行悪化することもあるが,ステロイドパルスが有効である.副腎皮質ステロイド抵抗性の症例に対しては,シクロフォスファミドパルスやシクロスポリン等の免疫抑制薬が奏功する.しかし,典型的な皮膚筋炎の皮膚症状を呈しながら,CKの上昇がなく筋炎症状の乏しい症例,あるいは全く筋炎症状のない症例,いわゆる無筋炎型皮膚筋炎では,間質性肺炎が発症すると急速に増悪し,これらの治療に抵抗性であり予後不良である.多くの症例で,抗melanoma differentiation-associated gene 5(MDA5)抗体陽性であった.
最新の治療状況
筋炎症状の乏しい皮膚筋炎に合併する間質性肺炎で,治療抵抗性の症例に対して,シクロスポリンとシクロフォスファミドパルスの併用療法に加えて,PMX-DHPを行うことにより予後が改善することが報告されている.多発性筋炎に伴う間質性肺炎に対するLCAPの有効性は否定的な報告が多いが,一部有効例が報告されている.
アフェレシスの根拠
polymyxin Bは,敗血症の際に循環血中に産生されるエンドトキシン(グラム陰性菌の外膜の成分)と高親和性をもつ.PMX-DHPによって,活性化した好中球や単球の除去,サイトカインや自己抗体の除去がその機序として推測され,PMX-DHP施行後に間質性肺炎が改善することが報告されている.またLCAPは,肺問質に存在する多数のCD8+Tリンパ球や形質細胞を除去することで肺炎が改善すると推測され,非対照試験では有効性を示した報告もあるが,二重盲検試験では有効性は認めなかった.
施行上のポイント
アフェレシスは,少数例での検討や症例報告レベルでは有用性が示されているが,多数例での他の治療法との比較試験では明らかな治療効果は証明されていないため,種々の治療に対して抵抗性の難治例に限って考慮すべきである.
施行回数・終了のめやす
保険適用外.PMX-DHPは,ポリミキシンB固定化ファイバーによるエンドトキシン吸着療法で,1回につき2時間で2回(2日間連続)施行する.LCAPは,患者血液中のリンパ球を含む白血球を体外循環により吸着除去する方法で,方法は保険適用されている薬剤抵抗性関節リウマチや潰瘍性大腸炎に準じて行う.過去の報告例では,5~10×109のリンパ球除去を行っている.
保険適用* 無
文 献
1) 米田雅美,佐中孔,林光俊,他:多発性筋炎に伴う間質性肺炎に対して白血球除去療法が有効であった1例.呼吸2009;28:1137-42
2) Euwer RL, Sontheimer RD:Amyopathic dermatomyositis:a review. J Invest Dermatol 1993;100:124-7
3) Sontheimer RD:Cutaneous features of classic dermatomyositis and amyopathic dermatomyositis. Curr Opin Rheumatol 1999;11:475-82
4) Kakugawa T, Mukae H, Saito M, et al:Rapidly progressive interstitial pneumonia associated with clinically amyopathic dermatomyositis successfully treated with polymyxin B-immobilized fiber column hemoperfusion. Intern Med 2008;47:785-90
5) 佐藤慎二:皮膚筋炎に合併する間質性肺炎の病態と鑑別.第60回日本リウマチ学会総会・学術集会シンポジウム5 膠原病の難治性病態2016
6) Cruz DN, Antonelli M, Fumagalli R, et al:Early use of polymyxin B hemoperfusion in abdominal septic shock:the EUPHAS randomized controlled trial. JAMA 2009;301:2445-52