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日本アフェレシス学会雑誌:7-18-52 神経疾患領域:神経ベーチェット病

7-18-52 神経疾患領域
神経ベーチェット病
アフェレシスの方法 PE
アフェレシスの目的 免疫調節
推奨レベル 2C
カテゴリー IV
文献的報告数 RCT CT CS CR
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疾患概念
 ベーチェット(Behcet's)病とは,原因不明の全身血管炎に基づく症候群で,神経ベーチェット病はその中で神経組織が侵される疾患群である.末梢神経障害より中枢神経障害が主である.病型は,急性型と慢性進行型の2つに分類される.急性型は,急性・亜急性に発症した髄膜脳炎の形をとり,脳脊髄液細胞数が著増し,時に脳MRI,FLAIR画像で高信号病変を認める.慢性進行型は,認知症様の精神神経症状,失調性歩行が徐々に進行し,人格荒廃を来す.脳脊髄液中のIL-6が持続的に異常高値を示すとともに,MRIで脳幹部の萎縮を認める.

最新の治療状況
 急性型と慢性進行型で異なる.急性型では,副腎皮質ステロイド内服やステロイドパルス療法を施行する.発作の予防としては,副腎皮質ステロイド内服,コルヒチン内服を行う.慢性進行型では,メトトレキサート(Methotrexate:MTX),インフリキシマブによる加療を行う.シクロスポリンによって急性神経症候を誘発される可能性があるため発症前に投与を行っている症例では投薬を中止し,治療薬として用いない.

アフェレシスの根拠
 神経ベーチェットに対し,アフェレシスの有用性を報告したエビデンスはない.あくまで内服薬,静注薬による治療が基本である.アフェレシスは重篤な機能障害が懸念される際の緊急的な治療選択肢にとどまる.

施行上のポイント
 神経ベーチェットに対しアフェレシスの治療有効性を報告したエビデンスはない.

施行回数・終了のめやす
 神経ベーチェットに対しアフェレシスの治療有効性を報告したエビデンスはない.

保険適用*   無

文   献
 1) Hirohata S:ベーチェット病の神経病変.Clin Rheumatol 2015;27:288-95
 2) Borhani-Haghighi A, Kardeh B, Banerjee S, et al:Neuro-Behcet's disease:An update on diagnosis, differential diagnoses, and treatment. Mult Scler Relat Disord 2020;39:1-15
 3) Wechsler B, Le Thi Huong Du, Godeau P, et al:Medical treatment of Behcet's disease. J Mal Vasc 1988;13(3):262-9
 4) Caruso P, Moretti R:Focus on neuro-Behcer's disease:A review, Neurol Ind 2018;66:1619-28
 5) Kaklamani VG, Kaklamanis PG:Treatment of Behcet's disease-An update. Seminars in Arthritis and Rheumatism 2001;30:299-312