4-1-19-2 呼吸器疾患領域
急性呼吸窮迫症候群(CHDF)
アフェレシスの方法 |
CHDF |
アフェレシスの目的 |
酸素化改善・循環動態改善 |
推奨レベル |
2C |
カテゴリー |
III |
文献的報告数 |
RCT |
CT |
CS |
CR |
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疾患概念
急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)は,肺炎,外傷,手術,熱傷及び敗血症などの全身性侵襲により肺実質の細胞傷害をきたし,肺毛細血管内皮細胞の広範な傷害による透過性亢進型肺水腫を呈する.何らかの刺激により単球・マクロファージが活性化されサイトカインなどの炎症性メディエータの産生,放出を引き起こし,多臓器不全症候群の一亜型であるARDSを引き起こすと考えられる.活性化された好中球が肺に集積すると,炎症性メディエータの働きにより好中球表面にはCD11bなどの接着分子が発現し,肺血管内皮細胞上にはintercellular adhesion molecule-1(ICAM-1)などの接着因子が発現する.その結果,肺に集積した好中球は肺毛細管から肺胞隔壁や肺胞腔内へと遊走してくる.遊走した活性化好中球からは好中球エラスターゼ,活性酸素などが放出され,肺血管内皮細胞や肺胞上皮細胞に広範な傷害をもたらし,透過性亢進型の肺水腫を呈する.
最新の治療状況
現時点では推奨される薬物治療はない.低1回換気量による人工呼吸器管理は推奨されており,現在は,症例により腹臥位療法なども良好な結果が報告されている.また,PEEP圧に関しても,患側肺の虚脱を来すような圧でその改善が出てくるのではないかということが予測されている.
アフェレシスの根拠
低分子炎症性サイトカイン除去や体内水分除去を目的としたCHDFは体外循環への影響が少なく,全身管理に有用である.PMMA膜によるCHDFが炎症性メディエーターを除去することで酸素化能改善が期待されるが,ARDSに対する効果を立証した報告はない.
施行上のポイント
一般的には腎不全を併発したARDSに対して行うという保険上の規制があるが,本邦の論文ではそれ以外の施行例も認められる.
施行回数・終了のめやす
CHDFの終了の目安として確立されたものはない.酸素化の改善などの呼吸状態や腎不全合併症例では尿量の増加など総合的に判断が必要である.
保険適用* 無