1-2-1 救急疾患領域
循環動態が不安定な腎不全
アフェレシスの方法 |
CHDF |
アフェレシスの目的 |
腎機能補助 |
推奨レベル |
なし |
カテゴリー |
I |
文献的報告数 |
RCT |
CT |
CS |
CR |
0 |
0 |
0 |
4172 |
疾患概念
腎機能が低下し不要・有害な物質が蓄積してしまい,溢水,高カリウム等により死に至ることがある腎不全の中で,循環動態が不安定で通常の血液透析に耐えられない状態.
最新の治療状況
循環動態が安定した症例に関しては間欠的な血液透析が選択される場合もある.循環動態が不安定な症例の場合CHDFの選択が望ましく,施行可能な施設ではほとんどの場合CHDFで治療されている.
アフェレシスの根拠
腎補助として有効,循環動態の不安定な症例に対しても施行可能な場合が多い.
施行上のポイント
持続的な施行となり患者の長時間拘束が必要となる.また抗凝固薬の持続的投与により出血のリスクを増加する危険性がある.また医療安全上,医療スタッフに大きな負担をかけることとなる.
施行回数・終了のめやす
急性腎不全の場合は,10日前後で離脱可能な場合が多い.腎機能が回復するか,循環動態が落ち着き通常の血液透析で施行可能な状態にまで回復した場合.
保険適用* 有
注
1 入院中の患者以外の患者に対して,午後5時以降に開始した場合もしくは午後9時以降に終了した場合または休日に行った場合は,時間外・休日加算として,300点を所定点数に加算する.
2 著しく持続緩徐式血液濾過が困難な障害者等に対して行った場合は,障害者等加算として,1日につき120点を加算する.
3 持続緩徐式血液濾過を夜間に開始し,午前0時以降に終了した場合は,1日として算定する.
4 区分番号J038に掲げる人工腎臓の実施回数と併せて1月に14回に限り算定する.ただし,区分番号J038に掲げる人工腎臓の注8に規定する別に厚生労働大臣が定める患者にあってはこの限りでない.
通知
(1) 使用した特定保険医療材料については,持続緩徐式血液濾過器として算定する.
(2) 持続緩徐式血液濾過は,次のアからケまでに掲げるいずれかの状態の患者に算定できる.ただし,キ及びクの場合にあっては一連につき概ね8回を限度とし,ケの場合にあっては一連につき月10回を限度として3月間に限って算定する.
ア 末期腎不全の患者
イ 急性腎障害と診断された高度代謝性アシドーシスの患者
ウ 急性腎障害と診断された薬物中毒の患者
エ 急性腎障害と診断された尿毒症の患者
オ 急性腎障害と診断された電解質異常の患者
カ 急性腎障害と診断された体液過剰状態の患者
キ 急性膵炎診療ガイドライン2015において,持続緩徐式血液濾過の実施が推奨される重症急性膵炎の患者
ク 重症敗血症の患者
ケ 劇症肝炎または術後肝不全(劇症肝炎または術後肝不全と同程度の重症度を呈する急性肝不全を含む.)の患者
(3) (2)のアからカのいずれかに該当する場合は,診療報酬明細書の摘要欄に該当項目を記載すること.
(4) (2)のキからケのいずれかに該当する場合は,診療報酬明細書の摘要欄に(2)のキからケまでのそれぞれについて,要件を満たす医学的根拠について記載すること.
(5) 人工腎臓,腹膜灌流または持続緩徐式血液濾過を同1日に実施した場合は,主たるものの所定点数のみにより算定する.
(6) 「注1」の加算を算定する場合は,区分番号「A000」初診料の注9及び区分番号「A001」再診料の注7に掲げる夜間・早朝等加算は算定しない.
(7) 持続緩徐式血液濾過を夜間に開始した場合とは,午後6時以降に開始した場合をいい,終了した時間が午前0時以降であっても,1日として算定する.ただし,夜間に持続緩徐式血液濾過を開始し,12時間以上継続して行った場合は,2日として算定する.
(8) 妊娠中の患者以外の患者に対し,持続緩徐式血液濾過と人工腎臓を併せて1月に15回以上実施した場合(持続緩徐式血液濾過のみを15回以上実施した場合を含む)は,15回目以降の持続緩徐式血液濾過または人工腎臓は算定できない.ただし,薬剤料または特定保険医療材料料は別に算定できる.
文 献
1) 松田兼一,森口武史,針井則一,他:AKIへの急性血液浄化療法の実際.ICUとCCU 2010;34:309-16
2) 平山陽,平澤博之,織田成人,他:持続的血液浄化法に対する間欠的血液浄化法の位置付け 急性腎不全に対するCHDFとIHDの臨床効果の比較検討.ICUとCCU 2005;29:S46-8
3) Kellum JA, Angus DC, Johnson JP, et al:Continuous versus intermittent renal replacement therapy:a meta-analysis. Intensive Care Med 2002;28:29-37