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日本アフェレシス学会雑誌:10-4-6 PDF:敗血症(PDF)

10-4-6 PDF
敗血症(PDF)
アフェレシスの方法 PDF
アフェレシスの目的 腎毒性物質・アルブミン結合物質除去
推奨レベル 2B
カテゴリー III
文献的報告数 RCT CT CS CR
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疾患概念
 敗血症は「感染症によって重篤な臓器障害が引き起こされる状態」と定義される.侵襲(感染)に対する生体反応が調節不能な病態であり,生命を脅かす臓器障害を導く(過剰に産生されたcytokineが血中に流入し,高サイトカイン血症となり,それが重症化,遷延化することで,組織酸素代謝の失調やmediatorによる直接障害によって臓器不全,ショックに陥る病態).敗血症性ショックは,敗血症の一分症であり,「急性循環不全により細胞障害及び代謝異常が重度となり,死亡率を増加させる可能性のある状態」と定義される.

最新の治療状況
 PMX-DHPは2回まで保険適用がある.ほかに敗血症そのものではPMMA及びANST69膜を用いたCHDFが実施されている.

アフェレシスの根拠
・plasma filtration with dialysis(PDF)のin vitro modelでアルブミンの喪失を抑制しつつサイトカインを除去できた報告がある.豚の実験モデルではPDFによりTNF-αとHMGB-1の優位な低下がみられ,小腸粘膜のバリア機構の保持とリンパ球のアポトーシスの低下がみられている.
・臨床的にはPDFによりSOFAスコア改善の報告がある.IL-18が著減した報告もある.

施行上のポイント
・一般的なCHDF回路や血液浄化装置のみを使用することが望ましい.それら以外に新たに輸液ポンプを設置して補充液ラインなどとすることはポンプ制動のずれにより水分出納を精密に管理することができず,バランスが崩れる恐れがあるので推奨しない.
・腎不全を合併するなどにより除水が必要な場合は通常のCHDFと同様に設定できる.
・Dポート接続など医療安全の面など各施設の倫理員会を通じた対応を行っておくほうが得策と思われる.

施行回数・終了のめやす
 PMX-DHPは保険上2回まで実施できる.PDFの保険適用はないが,経験上2~8回の実施でSOFAスコア改善,循環動態改善,PaO2/FiO2比の上昇,尿量増加などの改善炎症反応の低下が得られる.

保険適用*   無

文   献
 1) Eguchi Y:Plasma dia-filtration for severe sepsis. Contrib Nephrol 2010;166:142-9
 2) 五月女隆男,佐々木禎治,浜本徹,他:エバキュアーEC-2Aを用いたPlasma Dia-filtration(PDF)によるサイトカインアフェレーシスが著効した敗血症の1症.ICUとCCU 2006;30:S151
 3) 岡浩,吉岡豊一,石原浩,他:膜型血漿分離器(EVAL 2A)を用いた敗血症性高ビリルビン血症治療.ICUとCCU 2002;26:S117-8
 4) 田畑貴久,遠藤善裕,谷徹:エンドトキシンコントロール2―アフェレーシス―.外科と代謝・栄養2005;39:225-33
 5) Li MX, Liu JF, Lu JD, et al:Plasmadiafiltration ameliorating gut mucosal barrier dysfunction and improving survival in porcine sepsis models. Intensive Care Med Exp 2016;4:31
 6) Li M, Xue J, Liu J, Kuang D, et al:Efficacy of cytokine removal by plasmadiafiltration using a selective plasma separator:in vitro sepsis model. Ther Apher Dial 2011;15:98-108
 7) Shimizu M, Nakayama Y, Taniguchi T:Successful treatment of enterohemorrhagic Escherichia coli O111-induced acute encephalopathy and hemolytic-uremic syndrome with plasma diafiltration. Ther Apher Dial 2014;18:516-8